
ウェンブリーで 日本が 勝った
ウェンブリースタジアム。ワールドカップ前の親善試合、日本代表とイングランド代表。9万人のスタジアムが満席になっている。東京ドームも京セラドームも席数は4万人前後なので、その倍以上の人間が同時に熱狂している空間ということになる。圧巻としか言いようがない。
三笘選手は3月頭に足首を痛め、直前の試合を欠場していた。出られないかもしれないというニュースを見て、息子はずっと気にしていた。三笘選手の大ファンで、彼を見るためにイギリスまで来ている。この試合に来た理由の半分は、それだ。
実は試合の前に、現地のスタッフから出場選手とフォーメーションの資料をこっそりもらっていた。日本ではまだ、SNSで先発予想が飛び交っている時間帯。未来を知っているように見える人がいるが、ビジネスの世界でも同じで、たいていは情報を先に持っているだけのことが多い。
三笘選手は先発。そして23分、カウンターから決めた。息子と顔を見合わせて、二人で叫んだ。そのまま1-0で日本がイングランドに勝ち、これが日本代表にとって史上初のイングランド戦勝利になった。歴史的な瞬間に、たまたま居合わせたことになる。
イングランドはサッカーの発祥地。近代サッカーのルールをつくったフットボール・アソシエーションは、1863年にロンドンで生まれている。ウェンブリーは、その国の代表が本拠地にする「聖地」。そこで日本が勝った。
スタンドには日本人も多かった。スポーツを楽しむためだけに、9,500km離れた土地まで来て、同じ国の人とだけでなく、現地の人と一緒に騒ぎながら楽しんでいる。
これは、ナポレオンにもハプスブルク家の皇帝にもできなかったことだと思う。どれだけ金と権力があっても、娯楽のために地球の反対側まで行き、そこの人たちと同じ席で同じ試合を見ることはできなかった。それを今、普通の人がしている。
テレビでも見られるし、画面の前でも熱狂はできる。けれど、どこまでいってもピクセルの世界であって、その瞬間に同じ空間にいて、同じ空気を吸って感じるものとは全く違う。スポーツだけの話ではなく、音楽ライブをYouTubeで見るのと現地で浴びるのは違うし、講演やセミナーもZoomとリアルでは別物だ。
もっと本物に直に触れる機会を増やしていきたい。効率化と合理化が行き過ぎた時代に、息子(9)にも、それを伝えていくつもりでいる。
