船の窓枠に腕をのせ、青い海を眺める子どもの後ろ姿

息子と男二人旅

小学三年生の息子と、男二人旅。ずっとやりたかったけれど、先延ばしになっていたこと。毎年、場所やテーマを変えながらいろんな場所に行き、彼が大人になるまでに、思い出をどれだけ作れるか。

今回は、アウトドアと歴史に触れながら、車で四国を縦断。

和歌山から四国へは、南海フェリーで徳島へ渡った。実はこのフェリーには思い出がある。20歳で徳島から大阪に出てきたころ、実家に帰るときは、いつもこのフェリーだった。当時、客席が満席で座れないことがあり、そのときに見つけたくつろぎ方がある。トラック運転手専用の部屋にカーテン付きの簡易ベッドがあり、そこに忍び込んで、隠れて2時間過ごしていた(笑)。今回は、息子と二人で忍び込んだ(ごめんなさい)。

徳島港から高速道路に乗って高知へ。まず向かったのは、高知の坂本龍馬記念館。

息子を夜寝かしつけるとき、よく話をしていたのが、ネイティブアメリカンの物語や哲学、そして日本の偉人の話。特に坂本龍馬は、息子も好きなようだ。

司馬遼太郎の『竜馬がゆく(五)』の「変転」に、西郷隆盛が初めて龍馬に会い、その笑顔の愛嬌に惚れ込む場面がある。

「鈴虫が草の露を慕うように万人がその愛嬌に慕い寄り、いつのまにか人を動かし世を動かし、大事をなすにいたる」

どれだけ頭が良く、才能があっても、愛嬌がなくては事を成せない。

やっぱり、愛嬌が大事だ。

坂本龍馬のそういった側面にも触れて、勉学の努力はしてもらいたいが、賢さや記憶力などはAIにでも任せて、愛嬌のある男になってほしい。

記念館を出て、四国山地の山あいへ。いの町のキャンプ場で、バンガローに泊まる。

米を洗って飯盒炊飯。自分で火をおこしてBBQ。普段は体験できないことばかり。巨大なムカデが出たときは率先して退治していたが、山の夜、トイレはまだ一人では怖いようだ。

息子がいる父親には、男二人旅をおすすめしたい。家では話さないようなことも、車の中や寝袋の中では話してくれる。

もうそろそろ、友達と遊ぶことの方が楽しくなってきた年頃。さぁ、息子の中に、父親との思い出をあとどれだけ作れるか。

深い緑に覆われた渓谷。岩のあいだを白い水が流れている