
この 写真が 撮りたかった
この写真が撮りたかった。最後までやり切って、息子と一緒に花火を見上げる写真。
2022年、夢洲。駅もなく、土地の整備が要る工事現場で、45,000発の花火大会を実現するチャレンジ。コロナと野鳥と台風で三度延期し、3年かかった。
世の中に希望をつくる。下を向いている世の中を、無理やり上を向かせる。そのために日本最大規模の花火大会をやる。コロナをぶっ飛ばす。この思いは本気だった。ただ、自分個人としての一番のモチベーションは、息子に背中を見せることだった。
大人になると世の中を知り、徐々に自分で限界を決めてしまう。現実を知ることと、想像力が広がることは反比例する。だから将来、お父さんはこんなことをやっていたなと、少しでも思い出してほしい。こんなことをやってしまっていいんだ、と思ってほしい。
45,000発という数は、初めて花火大会に挑戦する主催者には奇跡が重なった数字だった。2020年の東京オリンピックに向けて花火を多めに作っていた業者が多く、そこにコロナが来た。オリンピックは延期になり、日本中の花火大会が中止になった。全国で花火玉が余った。保管庫のある業者ならいいが、赤煉瓦の倉庫で湿気てしまえば廃棄するしかない。それを集めて、力を合わせて上げよう。そのアイデアと、声をかけてまとめてくれた大阪の花火師の努力で、数が確保できた。
場所も奇跡だった。大阪で尺玉を上げられる場所はほとんど無い。たまたま2025年の万博会場が、まだパビリオンの工事前で、広大な工事現場だった。何度も足を運んで、民間でのイベント実施の許可を取れた。そしてコロナも終盤。そろそろ世の中のムードを変えよう、と協賛してくれた地元の経営者の方々。
こんな条件がそろうことは、もう無いだろうと思っていた。
「こんな大きな花火は二度と見られないから、覚えておきや」
息子(6)にそう言ったとき、一番嬉しい答えが返ってきた。
「僕が大人になったら、これを超える花火をやる」
これは嬉しかった。今は他にも夢ができているようだし、将来イベントをやるかどうかではなく、想像力が広がるきっかけになれたら嬉しい。
撮りたかった写真はこれ。息子と二人で花火を見上げている写真。そのために、息子特別仕様の法被までこっそり準備していた。今も会社のデスクに飾っているし、息子も自分の部屋に飾ってくれている。